FRTD Japan 創設者挨拶

皆様、初めまして「八櫛 徳二郎」です。

 私は消防士として27年勤務してまいりましたが、常に開発や企画を行い、組織に説明し、基準化するという組織改革を続けて参りました。そのような中で東京消防だけにとどまらず日本消防の発展のため、日本全国の救命率を向上させるために私自身が独立し、自由な立場で活動をする必要があると考え、創業を決意しました。

 さらに私は同僚や関係者から5つの顔を持つと言われ、時には3人存在すると言われて参りました。その多岐にわたる活動を自由に行うため、「yakushism(ヤクシイズム)」として創業し、さらにその中でも消防関係に資機材を提供することに特化し、消防をリタイヤした方々を支援する一般社団法人消防救助技術開発を立ち上げ、目的を達成したいと考えています。

yakushism(ヤクシイズム)について

 5つの顔とは、

①消防士として火災や救助活動など一般的な消防業務を行う上でのスペシャリスト

②救急救命士として、救急現場を統括し、救急処置を行うスペシャリスト

③科学災害技術員として、毒ガスや放射線など、テロ災害に対応するスペシャリスト

④震災救助の研究者として、倒壊建物救助技術に関するスペシャリスト

⑤消防士のメンタルヘルスをデブリーファーとして対応するスペシャリスト

 これらの中で①に関しては長い期間、誠実に働けば隊長職となり、スペシャリストに成長することは可能です。しかしながら、①と他の項目を合わせて2項目を身につけることは至難の技と言われています。

 私は、自身の生まれ持ったバイタリティーで5つの項目全てでスペシャリストと言われるまでになりました。

 具体的な実績は、

①29歳で隊長職となり、経験を積み、多くの表彰を受けてきました。

②東京消防庁内で救急スペシャリストに任命され、現場活動と合わせ、教育者としても仕事をしていました。

③東日本大震災における原発事故の3年前に東京消防庁の特殊災害活動基準の全面改正を行い、防護衣や測定器の入れ替えを東京都と連携して行い、その全てが原発事故で使われたという偉業を成し遂げました。しかしながら、この部分については、自分自身が危険な現場へ行かず、後方で活動していたことを考えるとあまり実績として強くは語れない部分です。

④プライベートの時間を活用し、日本で体系化されていなかった震災時に発生する倒壊建物における救助活動(CSRM)のノウハウを研究し、日本国内特有の技術として体系化し、教本を出版すると同時に自宅の敷地内に日本で初となる民間の救助訓練場を建設し、希望者の訓練を行い、国内でCSRMの標準化を行いました。

⑤メンタルヘルスに関しては、東京消防庁内でデブリーファーとして、都内のどこで災害が発生してもメンタル不調の可能性があると通報があれば、出向し、カウンセリングを行って参りました。また、国内で発生する殉職事案等では、他機関とも連携し、プライベートの活動として、現地に入り、カウンセリングを行い、自殺防止のゲートキーパーとして活動を続けてきました。

 yakushism(ヤクシイズム)では、これらの経験とスキルの全てを発揮してさまざまな事業を行っていきたいと思っています。

 また、このyakushism(ヤクシイズム)と合わせ、消防関連機器の販売とメンタルダウンした消防職員の就業支援を行う一般社団法人消防救助技術開発を設立し、事業を行いたいと考えています。

 一般社団法人消防救助技術開発

 事業目的 消防関連機器の販売、全国の消防士のメンタルケア、リタイヤ時の就業支援(雇用、外注を含む)

八櫛として個人の収益を優先とせず、研究企画及び商品開発に特化する。ビジネスで得た利益は一般社団法人にて確保し、今までお世話になった消防関連業界に対して恩返しができる体制を取りたいと考えています。

 繰り返しになりますが、私は消防士として27年間勤務し、レスキューの最前線で経験を積むと同時に震災救助の研究を行い、日本消防の発展のため教本を出版するなど、救命率の向上に努めてまいりました。私が整備した放射線災害対応システムは東日本大震災で発生した原発事故でも有効に機能し、現場の経験から築き上げられたシステムは実行力があると学びました。様々な現場経験から多くの研究開発を行い、開発した代表的なものとして倒壊建物訓練施設PBS(パネルビルドシステム)やフルハーネス一体型空気呼吸器があります。

 倒壊建物訓練施設PBSについては、消防科学技術賞を受賞し、専門家からも高く評価されました。この資機材が適切に商品化され、全国に広まれば、災害時の救命率は格段に向上すると思われます。そこで、私は内部からの研究開発から外部からの資機材開発に移り、商品化までを達成することが必要だと考えました。

 フルハーネス一体型空気呼吸器については、平成31年に高所作業時のフルハーネス着用が義務化されましたが、消防士については空気呼吸器との関係で対応できず、例外として保留されている状況にあります。そこで消防職員の高所作業時の安全管理を充実させるべく、自分の知識技術で対応したいと考え、新しい資機材を開発するとともに商品化の必要性があると考えました。

 さらに長年震災救助の研究をする中で、震災時の救助別救助者割合(誰が救助したか)を研究する中でその多くが公助(公的機関による救助)ではなく、自助共助(家族や近隣住民、町会自治会による救助)だということもわかり、災害時の救命率を向上させるには町会自治会の防災訓練などをより簡単に現実的なものとして開催できる必要があると考え、それらの訓練ブースなどの商品化も必要だと考えました。

 これらの製品やサービスは、まだ世の中に無いもので、NPO法人全国救護活動研究会に協力を得たアンケートの結果からも大きく期待されていることがわかりました。自分が携わってきた消防、警察、自衛隊及び医療関係者の人脈を活かすことで事業化できる目途が立ったので、創業を決意しました。 これらの思いから、自身が創業し、知識技術を具現化することで日本全体の災害時の救命率を向上させることができると考えています。